アメリカ抽選永住権の誕生
アメリカ抽選永住権とは、正式にはDiversity Immigrant Visa Programと呼称される、アメリカ国務省が実施する抽選によるアメリカ永住権の発給プログラムです。
オープンマインドが生んだDVプログラム
自由の国アメリカは、これまで世界中から受け入れてきた多くの移民たちの手によって築き上げられてきました。DV-プログラムは、移民国家として発展してきた歴史を大きく反映したアメリカ国務省が実施するプログラムです。
DV-プログラムの始まりは、1990年の移民法の改正にさかのぼります。この移民法の改正は、これまでの家族関係や職業的能力を基準とした移民の受け入れ方式を、各国別に移民数を調整し、移民を人種別に多様化しようという試みで成立しました。
この法律は世界を6つの地域(アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米、南米とオセアニア)に分け、移民の少ない地域から公正な抽選のもと、毎年約5万5,000人に永住権を発給します。
この法律は、アメリカが世界中の国々の多様な文化をオープンに受け入れることで、より豊かな文化、経済の発展を目指して生まれました。
初期のアメリカ抽選永住権「AA-1プログラム」
初期の抽選永住権は、あまりの人気のため、大混乱から幕を開けました。初期の抽選永住権である「AA-1プログラム」の申請受付は、1991年の第一回申請受付から1993年の第三回申請受付まで3回に分けて行われました。
第一回申請受付の当選者の決定方法は、郵便と申請窓口までの提出による先着順で、一人に付き何通でも申請が出来たため、「AA-1プログラム」の受付機関は大混乱となりました。当初はまだ申請方法が確立しておらず、5万人の当選枠に対し申請者数は延べ1,900万通となり、その内700万通もの申請書が書類不備で無効となりました。
翌年の第二回申請受付は、第一回の大混乱の反省を活かし、1人1通の抽選方式を採用し、この方式が現在の抽選永住権「DV-プログラム」の基礎になりました。
「AA-1プログラム」は、全3回の受付で15万人の当選者を選出しました。
現在のアメリカ抽選永住権の確立「DVプログラム」
アメリカ抽選永住権は、1994年に「AA-1プログラム」を改良した、現在の「DVプロ グラム」へと発展しました。
それに伴い名称も「DV-95 プログラム」に変更され、その後は募集時の年度に応じて「DV-2017」、「DV-2018」などと呼ばれています。申請要項は毎年、必ず変更があるものの「DV-95」で申請要項はほぼ確立され、現在に至っています。
当選者数も見直され、永住権の実際の発給数である5万5,000人に対して、10万人程の当選者を選出する水増し当選を実施するようになりました。これは当選者の選出数を目標値である5万5,000人の永住権発給数と合わせてしまうと、実際の永住権の発給数がどうしても目標値に到達しないために行われ始めました。
永住権の発給数が目標値に達しない理由として、国際郵便による当選通知の不備や、当選後の面接時に犯罪歴など申請資格を満たしていないことが発覚する問題があったためです。
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